今年も終わりになりますが・・・
9月から書き始めた、デカが家族になるまでシリーズ、最終回です。
震災から二週間でデカと私は東京の実家に疎開し、それから一ヶ月近く過ごしました。
都内は震災前と変わらない光景で、自分が夢の中にいるような不思議な感覚でしたが、
ちょうど開花時期だった桜を見たりしているうちに、気分も明るくなっていきました。
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デカも実家で落ち着いて過ごすようになりました |
そして、夫と二人、自分達の今後について話し合いをしたんです。
私はデカと離れることは考えられず、夫もデカと私を引き離す事はできないと感じていました。
津波の心配の無い場所へ、ペット可の物件を探して引越そう!
デカの里親候補のHさんにお詫びの電話をしましたが、こちらの事情や気持ちを話す前に、
「やっぱりデカちゃんはふーこさんのお家のコになるべきなんですよ」と言われてしまい、
後は言葉になりませんでした。
身勝手な私を温かく許してくださったHさんには感謝のしようもありません。
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実家の黒猫にも近づけるように |
ところが、新居探しに予想以上の壁が・・・
まず、田舎ではペット可の賃貸物件が数少ないこと。
猫と暮らせる部屋を探している私達に、ある不動産屋のおじいさんは驚いた顔をして、
次に呆れたように「猫と住みたいなら家を建てなさい」と言いました。
地域によっては小型犬可という物件が出てきましたが、猫はまず無理。
探す範囲を広げるうちに、それまでの住居とは離れた千葉県内陸部に猫OKの一軒家が見つかりました。
夫の通勤はそれまでの車で15分から電車+バスで片道2時間に、家賃もかなり高くなりましたが、
津波の恐怖から開放されて猫と住めるのならばと、思い切って決めました。
震災から四ヶ月経った7月初旬、新居での生活がスタート。
こうして、デカちゅっちゅは私達の家族となったのです。
デカ達兄弟を保護してから10ヶ月後のことでした。
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元のアパートへ戻った頃のデカちゅっちゅ |
皆さま、長い間、読んでくださってありがとうございます。
途中、思い返すのが辛くて進まない時もありましたが、何とか最後まで記す事ができて、
記憶の整理と気持ちの区切りになりました。
全国各地には、人の家族として暮らせない猫や犬が、まだまだたくさんいます。
その多くは長くは生き延びられず、不幸な形で命を落としていると考えられます。
人間は豊かに暮らし、ペットショップでは犬猫の高額な生体販売がされている一方で、
何故こんな状況が続いているのでしょうか・・・?
私もデカ達と出会って、少しずつ現状を知ることができました。
自分に何ができるかを模索中ですが、一歩ずつでも前に進んで行きたいと考えています。